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(感想)「東大ロースクール 実践から学ぶ企業法務」淵邊 善彦

「東大ロースクール 実践から学ぶ企業法務」淵邊 善彦

 

https://www.amazon.co.jp/東大ロースクール-実戦から学ぶ企業法務-淵邊-善彦/dp/4822255263

 

 

1 グローバル企業から見た企業内法務の役割

  • 契約書のレビューはとても重要な仕事ですが、時間をかけすぎるのはあkんが獲物です。達成感はあるかもしれませんが、チェックが終わった時にはすでにビジネス自体が終わっている、あるいは次の段階に進んでいるかもしれません。完璧な仕事をしようと言う気持ちは大切ですが、完璧に仕上げることには時間が必要です。完璧さを追求するあまり、現場への対応が遅れるようでは、企業の成長にはつながりません。一方で、速さが大切だと言っても、本来チェックすべきポイントを「まあ、いいか」とミスgすことは、重大な法令違反につながりかねません。
  • 法務部の役割:①企業の資産と信用を守る、②ビジネスの成長を可能にする。特に、②について、「なんでもNoと答えると会議に呼ばれなくなり、なんでもYesと答えると訴えられる。」(重要)。どうにかしてビジネスを成長させていこうという姿勢が必要であり、また、ビジネスを阻害するような要因があれば積極的に介入して解決する
  • 戦略的なビジネスマネイジメント:リスクがあるからNGを出すのではなく、戦略的にリスクをマネイジメントする必要がある。
  • 具体的には、①何がリスクか、②それは合法か、③リスクが現実になったらどうなるか、うまくリスクを受け入れることができるか、④リスクを受け入れる価値があるか、⑥意思決定
  • 企業内法務スタッフに必要なマインドとセンス
  • ①リスクを受け入れて、革新的な解決策を提供する。  企業内法務が、伝統的に陥りがちな過ちは、「心配事やリスクを一緒にしてしまうこと」です。企業内法務の人間は(社外の弁護士もそうですが)、心配事を指摘し、コメントすることは得意です。しかし、それだけで終わってしまっては意味がありません。医者に「胃の調子が悪いようです」と言われたら、「どうしたら良いの?治療法は?」ということを聞きたくなりますよね。心配事を見つけたのであれば、それが本当に現実になるのか、現実になった場合、どうやってインパクトを受け入れ可能なレベルまで軽減するのか具体的な提案が必要です。できない理由をたくさん並べるのではなく、どうしたらできるようになるか、という提案をしましょう。
  • ②積極的なコミュニケーション、                    ③チームメンバーに対して敬意を払う、                 ④広い視野で考える、                         ⑤外部のネットワークを広げる、                    ⑥常にポジティブに考える、                      ⑦誠実にビジネスを行う(誠実さとは、どう行動すべき迷った時の指針となる。例えば、どの取引先に対しても公平に接することとはビジネスにおいてはとても重要です。信頼関係の基礎になるから)、             ⑧シンプルに、機敏に(時期やタイミングの方が重要なことが多いです。また、100%の完璧さを求めないことも重要です)、           ⑨自分の頭で考える(自分の頭で考えて決断することが大事。誰かが発言するのを待つことや、安全サイドからしか物を言わないことは、企業の守護者ではなく自分を守っているだけ。人は間違えるもの。全ての知識や情報を頭に入れて判断することはできないので、間違いに気づいたらすぐに修正していけば良いのです。今までになかったような問題については、正解を探していると時間だけが過ぎてしまい、時期を逸してしまう。皆さんがこれまで勉強したことや、経験したことを基にして、直感を信じて、自分の頭で考えて判断する勇気を持つこと)
  • 先のことも考えることも大事だが、目の前の仕事を全力でやることも大事
  • 英語を使う機会は確実に増加
  • 弁護士事務所の先生は企業のビジネスを理解してもらう努力が必要だ。イノベーティブなことは、製品・サービス・体制などを理解してもらわないと提案してもらえません。

 

2 プロジェクトにおける企業法務の機能

  • 法務部は、経営的優位性の追求。弁護士事務所は、法的優位性の追求。
  • 弁護士事務所に依頼する専門的な分野としては、MA・危機管理、独禁法・金商法・外国法など
  • さばき方:特定の案件を処理する際に、状況に応じて臨機応変に法的に深掘りするのか、浅くとも早く回答するべきなのかの判断を的確にくださせるのが実務経験者(ベテラン)=重要な修正箇所だけハイライトする等
  • 法務部としては、いかに経営に近い立場でいるかが重要である。取り締まり厄介や経営会議に法務部として参加しているか否かが、会社経営にどれだけ法務部が関与できているかという一つのメルクマールと言えるかもしれません。
  • 法務部を目指す人へ:①旺盛な好奇心が成功の鍵、②自分の得意分野を持つ、③徹底的に自分の頭で考える習慣を作る(自分で考える人間が成長する。最後は自分の頭で徹底的に考える習慣を持つことが何より重要)、④文章力+プレゼン力+交渉力(シンプルで説得力のある文章、法的に難しい概念を読み手に合わせてわかりやすく、ビジュアルなども駆使したプレゼン資料を作れることも大事。)、⑤井の中の蛙にならないこと
  • 取引相手と対等な立場でないケース:契約内容が上から目線だと、結局ビジネスを続けてもうまくいかなくなるものです。契約書を自社に有利に作ったとしても、実態とずれていたり、相手のやる気を削いでしまったりすると、ビジネスとしてうまくいかないこともある。法務担当者として、契約を起案する際に常に肝に銘ずべき点として、「自分の契約書によってはいけない」。本人がクリエイティブにできたというスキームは往々にしてビジネスの観点では使い勝手が悪いことが多い。契約書は「シンプルイズベスト」です。何年にもわたってオペレーションするものですから、将来担当者が変わって、背景を知らない人が読んでもパッと理解でき、ビジネスの羅針盤になる契約書が最高だと思います
  • 文章がやたらと長かったり、複雑な構造に従ったりと問いうのは、自分に良いがちな弁護士にも多いのではないか
  • 私は、時間が許すときは契約書を一晩寝かせて、翌日もう一度チェックするようにすること。クールな頭で「これは本当に必要な条項か」と自問自答して内容をギリギリまで削り、これ以上けずれないところまで整理してから完成する(一晩寝かすというのが本当に大事)

 

3 コーポレートガバナンスから見る内部監査と法務

  • 守りの法務とは、契約書の文言チェック、裁判対応。攻めの法務
  • とは、経営者の立場になって、「競合に勝つために法律をどう解釈するか」、「誰にどのように相談し、解決に導くか」を判断し、企業価値を向上・創造する
  • 他者が躊躇するというようなことをしなければ、競合に勝てません
  • 今でも、安全性を優先し、この契約書のここがまずい、これだと損をするかもしれない、もし向こうがこう倒産したらどうするかなどを考えて、だからやめたほうが良いですと結論付け、経営活動を抑止・規制するだけの法務が多いですが、そんな法務は不要
  • 弁護士も経営センスやビジネス感覚を研ぎ澄ます必要があります。これまでは単に法律に詳しい顧問弁護士でやっていけた面もありますが、これからはその業界のビジネス慣行や特有のリスクについても知っておくことが大事
  • 少なくとも弁護士は、法的な影響ど・発生度を整理した上でアドバイスしなければならないと持っています
  • リスクがあるということで止まるのではなく、リスクの先に何があるのか、またクライシスを最小限にとどめるためのリスクの取り方なども提言する必要がある

 

4 ベンチャー企業経営者から見る法務の役割

 

  • 弁護士に求められる役割:当事者感覚と客観性のバランスを保つこと
  • 世の中にはとりあえず起業しようという切り口の書籍が多いですが、私は危険だと思います。
  • 見た目は重要:ホームページが細かいところまでしっかり記載されていると信頼に足る企業との推定が働く(グーグルマップの地図よりわかり易い自作の地図派)。見た目と中身のギャップは、実力が伴ってからでなければ功を奏しない
  • 弁護士がもっとわかり易い言葉で説明すれば、耳を傾ける経営者は多くなるでしょう
  • 弁護士はそれは法律問題ではないと法律に逃げ込んでしまうことがおく、経営者が欲しい経営アドバイスを伝えることができる人はほどんどいない。ビジネスの現場において、法律だけを切り分けることはできません。弁護士にも、経営のアドバイスをしているという意識は必須で、専門である法律の視点を軸に話していくと良い。特に、ベンチャー企業の経営者は法務という意識は乏しいので、経営の相談をしたいと思っているはずです。どうやって会社の業績を伸ばすかが知りたいし、知的財産の話と経営戦略は重なる話だと思います。そういう点でアドバイスができるかが重要です。大企業の経営者から信頼の厚い弁護士は、経営アドバイスをしています。そうしたことから、社外役員として登用されることもあるのでしょうね
  • 40−50代になって良い仕事ができるというのは、そういう人脈を持つということなのかもしれません、高rこそ、若いうちに多くの人と接し、様々なことをやなないといけない

5 「経済財」としての知的財産の事業活用

  • 信託法:遺産相続や知的財産、金融関係に絡むこと。勉強する価値ある

6 国の未来を見据えた法制度の検討

  • 立法府で新しい法律の制定に関われば、その分野では第一人者になります。弁護士資格を持ち、そのようなリポウ経験ができれば、解説書を書いたり講演したりできます
  • 変革者は、法律を武器として使っている。日本企業でも、黒はダメですが、グレーはどこまでいけるのかを検討し、ここぞという時はチャレンジしていくことことも必要

7 海外展開における法務の重要性

  • アフターDDも重要。
  • 海外企業との取引では法的手段を講じた回収の難易度が高いので、国際取引においては契約締結時にしっかりと相手が楽さんや信用を確認することが大事
  • 日本企業にとって最大の防御は、自社が再建をなるべくもタイアに取引形態にすることです。海外に製品を売却する場合は、持ち逃げされないように、対価をなるべき多く前払いでもらうべき。ぎゃくに製品を購入する場合には、欠陥製品だったことを想定してなるべく後払いにするべき
  • 日本企業の立場が強ければ、金銭を受け取る時はなるべき前払い、支払う時はなるべく後払いや分割にするのは、とても有効な手段