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(まとめ)「経営戦略を問いなおす」三品和広

「経営戦略を問いなおす」三品和広

 

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第1章 誤信

 戦略の目的は長期利益の最大化。戦略とは、新たな市場取引を創造し、それによって人々の幸福度を増進させること。いつでも誰でも思い立った時に立てられるようなものは戦略ではありません、そういうものは、短期の戦術です。

 

 ヒロセ電機もウシオ電機キーエンスも手を伸ばせば届くはずの売り上げに、あえて手をつけていないのです。言い換えれば、売り上げは伸ばすものではなく、選ぶものという意識がどこかにあるのでしょう。そのためか、三社とも自社工場を大きく構えません。工場があると、どうしても工場を動かすために売り上げ目標が立つのですが、そうなると本末転倒です。三社はそれを回避して、あくまでも売り上げ選別の姿勢を貫いています。

 規模を拡大した方が負けという図式が成り立つの事は、意外だと思いませんか。成長を「目的」とする愚が、これで少しは伝わるのではないでしょうか。売上は、伸ばすより選ぶことが肝心なのです。

 

第2章 確信

 一に立地、二に立地、三、四が無くて、五に立地。

 企業の運命を分ける戦略は、立地替です。全国津々浦々の駅前商店街では人を戻そうと躍起になっているが、それと同時期に駅前商店街の衰退を逆手にとって大きく利用する人たちが出てきている。大手流通企業が郊外に建設するショッピングセンターの中に出店したり、自ら田んぼを埋め立てて駐車場付きの大型店を出した人たちがこれにあたる。飛躍を遂げている。

 立地の優位性は遅かれ早かれ消えて無くなる。

 豊かなポテンシャルに恵まれたという意味でビッグであるか、または競合がいないという意味でユニークであるか、どちらかに該当すれば望ましい立地と言える。

 立地の次に重要なのが、店の構えです。どういう店にするのか

 ポイントは、業界の常識を覆すことです。常識より統合の度合いを上げる、または下げることにより、独自の利点が生まれるならば、それを活かす戦略を組み立ててみる。優良企業は、どうもそんなところから生まれている。

 次に重要な要素は、均衡である。

生産工程がA、B、Cと順次繋がっている時に、ライン全体の生産能力は、全行程のうち、もっとも生産能力が低い工程で決まってしまうということ。

 

 戦略も、実は似たようなもので、最終的な有用性は、やはりボトルネックで決まります。いくら優れた立地を選んでも、いくら秀でた構えを作っても、他にシビヤなボトルネックが存在すればすべては台無しです。戦略のきもは、均整にある。

 トヨタに戦略性がない、またはなかったように見えるのは、均整に優れているからです。目立つということは、どこかにデコボコがあるわけで、それは無駄の裏返しと言ってよいでしょう。サウスウエスト航空の戦略にしても、アメリカ固有の条件が前提になっています。そうゆうローカルなコンテクストの下で、立地と構えと均衡をいかに整えるか。分かりやすく言えば、それが戦略の要締です。

 

第3章 所在

 本当に必要なのは経営層における「人材の選択と集中」なのだと思います。

 選択する際には、選ばなかった他方に退場してもらう。誰を選ぶかよりも、選ぶこと自体がはるかに重要である。なぜなら、無駄を省くことにより迅速な経営判断ができるようになるから。

 事業は経営者で決まる。戦略は経営者の頭の中に宿るもの。予想外に難しい展開にリアルタイムでどう対処するか、それが結果として戦略になる。これが私の暫定的な結論です。従来の能動的戦略観と呼ぶのが妥当かもしれません。経営者は一見したところ何のつながりもない生田の案件に判断を下していきますが、判断自体には何らかの傾向がついてまわります。

 

第4章 人材

 今の日産は、トヨタではなく、市場や顧客を見ていると言ってよい。その結果、日産の立地は明らかに変わり始めたのです。このような長任期は高収入を保証しませんが、短期的の連続は低収入を不可避とします(↔︎TOTOがあるのではないか)。

 実務の世界では、こうして経験に裏打ちされた知識の有無が、圧倒的にモノを言います。だからこそ、年功が重視されるのです。それこそ部長ともなれば、入社して20年程度の経験を積まないとやはり苦しいでしょう。

 日本では、管理をマスターしたら、その次にくるのが経営という発想が根付いている。管理と経営は別もので経営が管理の上に来るということはありません。端的に言えば、実務は知識でするものです。経営は、知識でするものではありません。

大局的な判断に、広い教養は役に立つとしても、実務の知識は必ずしも必要ないでしょう。経営は事業観でする。そして事業観の形成には、観察が必要です。知識でえらばれた経営者を見ていると、むしろ知識が邪魔をする現象をする現象が目につく。

 希少資源を握るものは強い。会社で希少な二台経営資源といえば、人と金。それを握る人事部門と経理部門に東大卒の社員をあてがうのが日本企業の知恵でした。

 

第5章 修練

 自分が納得してその後の人生を歩んでいくためにも、考えて道を選ぶことは大切です。自由業や自営業の最大の魅力は、自分で決めて動かせる点です。大企業に就職するということは、人生の議決権を放棄することをいみする。その代わり手に入れる代償が、人生の安定。

学生時代には、一般教養を体系的に身につけること。具体的には、語学、文学、自然科学、哲学、歴史などを含む。

経済史と経営史。