「人を動かす」D・カーネギー
「人を動かす」D・カーネギー
第1 人を動かす三原則
1 盗人にも五分の利を認める
批判も非難もしない。苦情も言わない。
- 動物の訓練では、良いことをした時に褒美をやった場合と、間違った時に罰を与えた場合と比べると、前の方がはるかに良く物事を覚え、訓練の成果が上がることを実証した。同じことが人間にも当てはまる。
- 人を非難するのはちょうど天に向かって唾をするようなもので、必ず我が身に返ってくる。
- 手厳しい非難や詰問は、たいていの場合、なんの役にも立たない
- 死ぬまで他人に憎まれたい方は、人を辛辣に批評してさえいればいい。その批評が当たっていればいるほど、効果はてきめんだ。およそ人を扱う場合には、相手を理論の
- 動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておく必要がある。
- ベンジャミン・フランクリンの成功の秘訣は、「人の悪口を決して言わず、長所を褒めること」
- 人を批評したり、非難したり、小言を言ったりすることは、どんな馬鹿でもできる。そして馬鹿者に限って、それをしたがるものだ。理解と寛容は、優れた品性と克己心を備えた人にはじめて持ち得る徳である。
- イギリスの思想家カーライルによると「偉人は、小人物の扱い方によって、その偉大さを示す」
- イギリス文学者ドクター・ジョンソンによると「神様でさえ、人を裁くには、その人の死後までお待ちになる」
2 重要感を持たせる
率直で誠実な評価を与える。
- 自ら動きたくなる気持ちを起こさせること
- 人間の持つ最も根強い衝動は「重要人物たらんとする欲求」
- 「私には、人の熱意を呼び起こす能力がある。これが、私にとって何物にも代えがたい宝だと思う。他人の長所を伸ばすには、褒めることと、励ますことが何よりの方法だ。条約から叱られることほど、向上心を害するものはない。私は決して人を非難しない。人を働かせるには激励が必要だと信じている。だから、人を褒めることは大好きだが、けなすことは大嫌いだ。気に入ったことがあれば、心から賛成し、惜しみなく賛辞を与える」
- お世辞と驚嘆の言葉とはどう違うか?答えは簡単である。後者は真実であり、前者は真実ではない。後者は心から出るが、前者は口から出る。後者は没我的で、前者は利己的である。後者は誰からも喜ばれ、前者は誰からも嫌われる。
- 相手の自己評価にぴったり合うことをってやること
3 人の立場に身を置く
強い欲求を起こさせる。
- 人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ
- アメリカの心理学者オーベストリートによると「人間の行動は、心の中の欲求から生まれる、、、高ら、人を動かす最善の方法は、まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせることである」
- 客というものは自分で買いたいのであって、売りつけられるのは嫌なのだ
第2 人に好かれる六原則
1 誠実な関心を寄せる
誠実な関心を寄せる。
- 友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せること
- 心理学者アルフレッド・アドラー「他人にことに関心を持たない人は、苦難の人生を歩まねばならず、他人に対しても大きな迷惑はかける。人間のあらゆる失敗はそういう人たちの間から生まれる」
- 友ををたいたいと思えば、他人を熱意ある態度で迎えることだ。電話がかかってきた場合にも、同じ心がけが必要で、電話をもらったのが大変嬉しいという気持ちを十分に込めて「もしもし」と答えるのである。強い関心を示すことによって、個人的に友を作ることができるだけではなく、相手が我々の務める会社の顧客であれば、会社への忠誠心ともいうべき気持ちを育てることすらできる。
2 笑顔を忘れない
笑顔で接する。
- 心温まる微笑み、心の底から出てくる笑顔、千金の価値のある笑顔
- まるでどんちゃん騒ぎでもしてるような具合に仕事を楽しみ、それによって成功した人間を何人か知っているが、そういう人間が真剣に仕事と取っ組み始めると、もうだめだ。だんだん仕事に興味を失い、ついには失敗してしまう。
- 幸福は外的な条件によって得られるものではなく、自分の気の持ち方ひとつで、どうにでもなる。
- シェイクスピア「およそ人は、幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれるものだ」
- 家から出る時は、いつでも顎を引いて頭をまっすぐに立て、できる限り大きく深呼吸をすること。日光を吸い込むのだ。友人には笑顔を持って接し、握手には心を込める。誤解される心配などはせず、敵のことに心を煩わさない。やりたいことをしっかりと心の中で決める。そして、まっしぐらに目標に向かって突進する。大きな素晴らしいことをやり遂げたいと考え、それを絶えず念頭に置く。すると月日の経つにしたがって、いつの間にか、念願を達成するのに必要な機械が自分の手の中に握られていることに気がつくだろう。あたかも珊瑚虫が潮流から養分を摂取するようなものである。また、有能で真面目で、他人の役にたつ人物になることを心がけ、それを常に忘れないでいる。すると、日に経つに従って、そのような人物になっていく。心の動きは絶妙なものである。正しい精神状態、すなわち男気、率直、明朗さを常に持ち続けること。正しい精神状態は優れた創造力を備えている。全ての物事は願望から生まれ、心からの願いは全て叶えられる。人間は、心がけた通りになれるものだ。顎を引いて頭をまっすぐに立てよう。神となる前段階、それが人間なのだ。
3 名前を覚える
名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない。
- 人間は他人の名前など一向に気に留めないが、自分の名前になると大いに関心持つということを、ジム・ファーレーは早くから知っていた。自分お名前を覚えて、それを読んでくれるということは、まことに気分のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果がある。
- 友達や取引関係者の名を尊重するのが、カーネギーの成功の秘訣の一つ
- ベントン・ラブ「冷たい会社を暖かくするには、一つ方法がる。人の名前を覚えることだ。重役たちの中には名前が覚えられないという人もいるが、つまりは重要な仕事が覚えられない、すなわち仕事の基礎ができていないことを告白しているのだ」
- いくら忙しくても、フランクリン・ルーズベルトより忙しい人はいないはずだ。そのルーズベルトが、たまたま出会った一介の機械工の名前を覚えるために、時間を割いている
- ルーズベルトは、人に好かれる一番簡単で、わかりきった、しかも一番大切な方法は、相手の名前を覚え、相手に重要感を持たせることだということを知っていたのである
- 「有権者の名前を覚えること、それが、政治的手腕というものである。それを忘れること、すなわち、忘れられることである」
4 聞き手にまわる
聞き手に回る。
- ジャック・ウッドフォード「どんな褒め言葉にも惑わされない人間でも、自分の話に心を奪われた聞き手には惑わされる」
- チャールズ・エリオット「商談には特に秘訣などというものはない、、、ただ、相手の話に耳を傾けることが大切だ。どんなお世辞にも、これほどの効果はない」
- 些細なことにも、躍起になって文句を言う人がいる。なかには相当悪質なものもいるが、そういう悪質な連中でも、辛抱強くしかも身を入れて話を聞いてくれる人、、いくらいきり立ってコブラのように毒づいても、じっと終わりまで耳を傾けてくれる人に対しては、たいてい大人しくなるものである。
- アイザック・マーカソン「自分の言おうとすることばかり考えていて、耳の方が留守になっている人が多い、、、お偉い方はとにかく話し上手よりも聞き上手な人を好くものだ。しかし、聞き上手という才能は、他の才能よりはるかに得難いもののようである」
- 「世間には、自分の話を聞いてもらいたいばかりに、医者を呼ぶ患者が大勢いる」
- 「自分のことだけしか考えない人間は、教養のない人間である。たとえ、どれほど教育を受けても、教育が身につかない人間である。」話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味を持たせるためには、まず、こちらが興味を持たせねばならない。相手が喜んで答えるような質問をすることだ。相手自身のことや、得意にしていることを話させるように仕向けるのだ。あなたの話し相手は、あなたのことに対して持つ興味の百倍もの興味を、自分自身のことに対して持っているのである。
5 関心のありかを見抜く
相手の関心を見抜いて話題にする。
- ルーズベルトは、誰か訪ねてくる人があると分かれば、その人の特に好きそうな問題について、前の晩に遅くまでかかって研究しておいたのである。
- 相手の関心を見好き、それを話題にするやり方は、結局、双方の利益になる。
6 心から褒める
重要感を与える。誠意を込めて
- 心からの賞賛には、このような計り知れない威力がある。
- 相手の心を確実につかむ方法は、相手が相手なりの世界で重要な人物で重要な人物であることを率直に認め、そのことをうまく相手に悟らせることだ。
- 人と話しをする時は、その人自身のことを話題にせよ。そうすれば、相手は何時間でもこちらの話しを聞いてくれる。
第3 人を説得する十二原則
1 議論を避ける
議論に勝つ唯一の方法として、議論を避ける。
- 議論に勝つ最善の方法は、この世にただ一つしかないという結論に達した。その方法とは、議論を避けることだ。議論に負けてもその人の意見は変わらない。
- ベンジャミンフランクリン「議論したり反芻しているうちには、相手に勝つようなこともあるだろう。しかし、それは虚しい勝利だ。相手の行為は絶対に勝ちえないのだから」
- 彼は重要を求めた。
- 意見の不一致から口論を避ける方法。①意見の不一致を歓迎せよ、②最初に頭をもたげる自己防衛本能に押し流されてはいけない、③腹を立ててはならない、④相手の言葉に耳を傾けよ、⑤意見が一致する点を探せ、⑥率直であれ、⑦相手の意見をよく考えて見る約束をし、その約束を実行せよ、⑧相手が反対するのは関心があるからで、大いに感謝すべきだ、⑨早まった行動を避け、双方がじっくり考え直す時間を置け
- オペラ歌手「私たち夫婦は、昔一つの協定を結び、どんなに腹の立つことがあっても、これを守り続けてきた。二人のうちどちらかが怒鳴り始めたら、もう一人は黙ってそれに耳を傾けるという取り決めだ。なぜかといえば、二人とも怒鳴り始めたら、たちまち意思の疎通はぶっ飛び、あとはただ騒音で空気が振動するだけなのだから」
2 誤りを指摘しない
相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
- 「おそらく私の間違いでしょう。私はよく間違います。一つ事実をよく考えてみましょう」という文句には、驚くほど不思議なほどの効果が有る。
- 「お恥ずかしい話ですが、私どものお店でもこれまでにヘマをしたことが何回かあります。今度も、何か考え違いがあるかもしれません。お気づきの点がありましたら、どうぞおっしゃってください」⇨議論がおさまり、相手も寛大な態度を示そうとする
- 控えめに意見を述べると、相手はすぐに納得し、反対する者も少なくなった。私自身の誤りを認めるのが大して苦にならなくなり、また、相手の誤りも、たやすく認めさせることができるようになった。「自分としてはこう思うのだが、」とか「私にはそう思えるのだが、」というべき。また、相手が間違ってる場合にも「なるほどそういう場合もあるだろうが、しかしこの場合は、少し事情が違うように思われるのだが、」といった切り出しをする。
3 誤りを認める
自分の誤りを直ちに快く認める。
- 自分に誤りがあるとおわかれば、相手の言うことを先に自分でいってしまうのだ。そうするれば、相手には何も言うことができなくなる。十中八九まで、相手は寛大になり、ことらの誤りを許す態度に出るだろう。
4 穏やかに話す
穏やかに話す
- リンカーン「バケツ一杯の苦渋よりも一滴の蜂蜜の方が多くのハエが取れるということわざはいつの世も正しい。人間についても同じことが言える。もし相手を自分の意見に賛成させたければ、まず諸君が彼の味方だと分からせることだ。これこそ、人の心をとらえる一滴の蜂蜜であり、相手の理性に訴える最善の方法である。」
- ダニエル・ウェブスター「比べる者のない堂々たる風采と雄弁に恵まれ、自己の主張を通すことにかけては、彼の右に出る者弁護士はいなかった。しかし、どんな議論を戦わす場合でも、彼は極めて穏やかな態度で切り出した。決して高圧的な言い方はしない。自分の意見を相手に押しつけようとはせず、穏やかな、打ち解けた態度を示す。それが彼の成功を追いに助けたのだろう。」
5 「イエス」と答えられる問題を選ず
相手が即座にイエスと答える問題を選ぶ
6 喋らせる
相手に喋らせる
- キャベリアスは、相手の業績を調べる手数をかけた。相手に関心を指名s他のである。そして、相手に喋らせて、好印象を与えたのである。
7 思いつかせる
相手に思いつかせる
- 人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見の方を、我々は、はるかに大切にするのである。すると、人に自分の意見を押し付けようとするのは、そもそも間違いだと言える。暗示を与えて、結論は相手に出させる方が、よほど利口だ。
8 人の身になる
人の身になる
- 相手は間違っているかもしれないが、相手自身は、自分が間違っているとは決して思っていないのである。だから、相手を非難しても始まらない。非難は、どんな馬鹿ものでもできる。理解することに努めなければならない。賢明な人間は、相手を理解しようと努める。
- 人を扱う秘訣は、相手の立場に同情し、それをよく理解することだ
9 同情を寄せる
相手の考えや希望に対して同情を寄せる
- 「あなたがそう思うのはは、もっともです。もし私があなただったら、やはり、そう思うでしょう。」と言って話始める
- 「人間は一般に、同情を欲しがる。子供は傷口を見せたがる。時には同情を求めたいばかりに、自分から傷をつけることさせある。大人も同様だ、傷口を見せ、災難や病気の話をする。ことに手術を受けた時の話などは、事細かに話したがる。不幸な自分に対して自己憐憫を感じたい気持ちいは、程度の差こそあれ、誰にでもあるものだ」
10 美しい心情に呼びかける
人の美しい心情に呼びかける
- 相手の信用状態が不明な時は、彼を立派な紳士と見なし、そのつもりで取引を進めると間違いないと、私は経験で知っている。要するに、人間は誰でも正直で、義務を果たしたいと思っているんだ。これに対する例外は、比較的少ない。人をごまかすような人間でも、相手に心から信頼され、正直で公正な人物として扱われると、なかなか不正をことはできないものなのだ
11 演出を考える
12 対抗意識を刺激する
対抗意識を刺激する
- 仕事の生産性を上げるには、「仕事には競争心が大切である。あくどい金儲けの競争ではなく、他人よりも優れたいという競争心を利用すべきである」優位を占めたいという欲求、対抗意識、負けじ魂、男の気迫に訴えかけるのだ。
- 給料され出せば人が集まr、人材が確保できるとは限らない。ゲーム精神を取り入れることが必要だ。
第4 人を変える九原則
1 まず褒める
まずほめる。
- このように、まず相手を褒めておくのは、歯医者がまず局部麻酔をするのによく似ている。もちろん、後でガリガリとやられるが、麻酔はその痛みを消してくれる。
2 遠回しに注意を与える
遠回しに注意を与える。
- この失敗は「しかし」を「そして」に変えると、すぐに成功に転じる。(ほめる⇨そして、こうするとさらに良いという言い方をする。)
- 遠回しに注意を与える方法は、直接批判されることに強く反発する神経質な人たちには、驚くこと効果がある。
3 自分の過ちを話す
自分の過ちを話した後相手に注意する。
- 人に小言を言う場合、謙虚な態度で、自分は決して完全ではなく、失敗も多いがと前置きして
- 、それから間違いを注意してやると、相手はそれほど不愉快な思いをせずに済む
4 命令はしない
命令をせず、意見を求める。
- 「こう考えたらどうだろう」「これでうまくいくだろうか」などといった具合に相手に意見を求めた。「ここのところは、こう言う言い方をすれば、もっと良くなるかもしれないが、どうだろう」ということも良くあった。彼はいつも自主的に仕事をやらせる機会を与えたのだ。決して命令はせず、自主的にやらせる。そして、失敗によって学ばせた。こういうやり方をすると、相手は自分の過ちが直しやすくなる。また、相手の自尊心を傷つけず、重要感を与えてやることにもなり、反感の代わりに協力の気持ちを起こさせる。押し付けがましい命令は、後にしこりを残す。たとえそれが、明らかな誤りを正すためであっても、そうだ。
5 顔をつぶさない
顔を立てる。
- 「相手の自己評価は木津つけ、自己嫌悪に陥らせるようなことを言ったり、したりする権利は私にはない。大切なことは、相手を私がどう評価するかではなくて、相手が自分自身をどう評価するかである。相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪なのだ」
6 わずかなことでも褒める
わずかなことでも惜しみなく心から褒める。
- なぜ、鞭の代わりに肉を、批評の代わりに賞賛を用いいないのだ?たとえ少しでも相手が進歩を示せば、心から褒めようではないか。それに力を得て、相手はますます進歩向上するだろう。
- 「ほめ言葉は、人間に降り注ぐ日光のようなものだ。それなしには、花咲くことも成長することもできない。我々は、ことあるごとに批評の冷たい風を人に吹き付けるが、ほめ言葉という温かい日光を人に注ごうとはなかなかしない」
- その言葉が具体性を持っていて初めて誠意のこもった言葉、つまり、ただ相手を喜ばせるための口先だけのものではない言葉として、相手の気持ちをじかに揺さぶるのである
7 期待をかける
期待をかける
8 激励する
激励して能力に自信を持たせる。
9 喜んで協力させる
喜んで協力させる